自動車整備士の年収(給料)と待遇に関して。自動車整備士はブラック?

厳しい状況に置かれている自動車業界の中でも気になる自動車整備士の給料は?待遇はブラック?偏った情報に惑わされないようにしましょう。

自動車整備士の年収(給料)は高いか安いか?暮らして行けるのか?

言わずと知れているかもしれませんが検索すると衝撃的な給与明細がたくさん出てきます。しかしながら自動車整備士全体の給与が安いわけではないです。若いうちは安い印象が拭えませんが福利厚生がしっかりしているところの総支給で考えると中くらいより少し下くらいの水準です。

何故自動車整備士の給料が安い!という情報がたくさんヒットするかと言うと、確かに劣悪な環境で安い給料の会社が多いせいもあるのでしょうが、俺は・私はかなり貰ってるぞ!という給与明細の画像があまり出てこないのは、あえて威張れるほど高くないからだと思います。

ごく普通の給料もらっていれば、あえてその画像をSNSにアップしたりはしないでしょう。そこそこ貰っていてもアップするほどじゃなければ大抵の人は黙っているかと思います。

そもそも多くの人が自動車ディーラーと自動車メーカーの関係性を勘違いしていることから、トヨタの整備士=給料安いとか、ホンダの整備士=給料安い、など単純で過激な決めつけた情報だけがひとり歩きし、それが強く印象に残っているにすぎません。

メーカーとディーラーの給与体制は別ですし、ディーラーは会社によって給料が天と地ほど差が開くということを知っておいたほうが良いと思います。

ネットで十分に探ってみるとそこそこ貰っている整備士さんの話も出てきます。まず私の年収も暴露します↓

私自身の整備士としての年収、給料に関して

某有名な自動車ディーラーで働いていましたが今考えると決して給料は安くありません。若いうちは給料に文句を言っていましたが総支給額にするとそこそこ貰っていました。

給与明細をひっくり返してみましたが、かなりバラツキがあります。入社5年目の時に350万、7年目420万、10年目でも殆ど変わらず450万、10~15年目で最も良かった年でぎりぎり600万です。自慢するほどでもないですが、卑下するほどでも無いと思いませんか?

でも貰ってますよ!と画像で自慢するほどでもないです(笑

平均年収や職種別の年収に関しては平均年収.jpというサイトが参考になりますが、例えば平成28年の日本の平均年収は422万円で、私の7年目の年収に相当します。自動車整備士で7年目にして日本の平均年収です。くっそ給料安いと言われたあのディーラーでです。

ちなみに同サイトのデータだと年齢別データにおいて(27歳)での平均年収は393万円となっており、27歳の時420万の年収があった私に当てはめると平均を上回っていたと言えます。

職種別では自動車整備士も載っておりましたが、私の職場環境とはかけ離れた数値だったので割愛します。参考にするデータとしては面白いと思います。内情に関しては少し推測が多く正確性に欠けそうですので参考程度に留めたほうが良さそうです。特に自動車整備士として独立に関する記載に関しては露頭に迷う人が出そうで怖いです。

話は戻ります。人手不足は自動車整備士業界全体の話になりますし、元の会社も求人で困っているみたいなので、平均年収より良かった~というお話は社名を出して宣伝してあげたいところです。ちなみに私が働いていた環境では年収に関して割とオープンに話していましたので、周囲や年次別、役職別で年収推移も割とわかりやすかったです。

年齢、年次別自動車整備士の年収の推移と変化

具体的な年収としては自動車整備士で勤務年数1~3年は200後半~300前半、3~5年は300~300後半、5~10年は300~400中盤、10~15年は400前半~600前半、15~20年は400後半~700くらいで後は整備から抜けて職種が変わってからという感じでした。

国家1級整備士に関してですが手当も付いていましたし、多少優遇はされますが、国家1級持っているのに・・・という負い目もあるのか、実際に現場に出ると資格がそのまま生きるわけでもなく辛そうでした。2年間分の給与をペイできる程の優遇を受けることが出来るわけでもないので、現状はあまり生きる資格ではありません。

ちなみに整備からでも店長職は結構いましたし、やり手の店長だと年収1000を超える人もそこそこいました。(源泉徴収見せてくれました)多分、頑張れば将来このくらい貰えるようになるぞ!と言いたかったのかも知れません。(結果的に私は退職しましたが給与待遇面で退職したわけではありません。)

このように整備士から年収1000万を狙うのは独立ではなく、整備士から会社の中で成り上がるほうが確率が良いと思います。独立するなら整備の方ではなく中古車売買関係のコネクションがあればという感じですね。ともあれ、サラリーマンの年収1000万は、個人事業の年収2000万くらいには価値があります。

完全にサラリーマン+整備側での年収という話になりますと、呼び名はおそらく会社によって異なりますが、工場長とかマネージャーとかいう名称で一番給与面で優遇される年次で700万そこそこだったと思います。ボーナスは総支給で夏100、冬100+αとかでした。みんな見せてくるんです・・・うちの会社の文化だったんでしょうか?

ちなみに私が辞めるまでに貰った一回あたりのボーナスは総支給75万くらいだったと思います。年に換算すると約150万なのでそれなりだったのかな?と思います。派遣やバイトのほうが良い?なんて言えませんよね?

年収のバラツキに関して

「年収」に関して今更勘違いしている人が居るとは思っていませんが、念の為。私も就職前は知らなかったので書いておきます。年収とは手取り×12ヶ月+ボーナス手取り額ではないです!!!

年間の給与総支給額のことです。手取りで給料を語ろうとする人が居ますが、意味不明です。給料から引かれている控除額の合計はあなたのために支払われたお金ですからね・・・。

総支給額が20万あるのに給料10万ちょっと・・・バイトのほうがマシ(涙)みたいな不幸自慢をよく見ますが、控除額の中には社会保険料、住民税、健康保険料、年金基金、積立保険、自動車保険、生命保険など強制になるものから任意で給与天引きになるまで「貴方が支払うべき金額」が引かれているだけです。決して勘違いしてはいけません。

本題の年収のバラツキですが、配偶者手当、子ども手当、通勤手当、住宅手当などの各種手当と残業の多い・少ないのせいです。後は評価によるボーナス補正も多少。手当類の該当が多く、残業が多い場合は同年代でも100万以上年収が異なります。

各種手当や残業の実態というのも自動車整備士として就職するのであれば年収において非常に重要な要素となるのです。

私の場合は若くして結婚したため若い頃は手当類をフルで貰っていました。なので7年目で420万という整備士にもかかわらず普通の中小企業サラリーマン並み年収がありました。この時は嫁が専業主婦でも食べるにも住むにも困ったことはありません。

ディーラーの自動車整備士も事情は様々

冒頭でも少し書きましたが自動車ディーラーは多くの販売店があります。これを販社と言います。販社の下に店舗がぶら下がっています。

例えば トヨタ 販売店 で検索すると北海道でも4社、関東圏だと7社あります。詳しくはトヨタの販売店一覧 を見ていただくと分かるかと思いますが、これらは独立した一つ一つの会社です。メーカー直営会社もあるかも知れませんが、それは除きます。

メーカーと何の関係も無いわけではありませんが、あくまで契約したビジネスパートナーという関係です。1社1社にそれぞれ社長が居ますし、経営方針ももちろん違います。よって休日や給与体制も全く異なります。会社によって天地の差があることも知っています。

メーカーと販売店の関係とはこんな感じ

トヨタ自動車の経常利益が過去最高に・・・なんていうニュースが流れようものなら〇〇トヨタの整備士さんはお客さんから、トヨタさんはすごいね~ボーナスかなり出るんじゃない?とか給料もらっているんでしょ?とか言われることになると思うんです。

これは全くの間違いで、いくらトヨタ自動車株式会社が潤ったとしても〇〇トヨタの整備士さんには1円も還元されません。〇〇トヨタ株式会社という販売店が潤って初めてこの会社の整備士さんに還元される可能性が出てくるのです。

このあたりのお話はファーストフードやコンビニのフランチャイズオーナーに少し似ています。〇〇トヨタという名前の付く会社の社長さんはフランチャイズのコンビニを多店舗経営しているオーナーさんと少し似ているというお話。

例に上げるとセブン-イレブン・ジャパンが業績を上げて大きく黒字の報道されても、セブンイレブンのオーナーさんが死にそうになっている可能性もあるというニュアンスと同じです。(セブン-イレブン・ジャパンさんやトヨタ自動車株式会社が悪いとかそんな話ではないので曲解しないでくださいね。可能性の話と「例」です。)

逆にメーカーが経営不振であっても(潰れない限りは)販社自体が上手く業績を上げていれば給与が上る可能性もあるということです。

自動車整備士の給料、待遇は販売店次第

トヨタさんを例に上げましたが、自動車ディーラーの世界は正規販社であれば、ホンダであろうと日産であろうとどこも似た事情を抱えています。民間工場にディーラー看板がくっついているところはまた別です。

私がどこのディーラーで働いていたかは明言を避けますが、同メーカーでも違う系列の販売店に行った専門学校時代の同期は比較的給料が優遇されていた私の販売店の1.5倍位貰っていましたし、逆にネットに出ているように手取り10万ちょっと、総支給額15万なんていう同期生もいました。

ちなみに1.5倍貰っていた同期のメカニックは店舗の業績によって給料が凄まじい変動をする給与システムの販社だったらしく、波乱万丈の人生を送ったことはまたどこかに書きたいと思います。2年目で夏冬のボーナストータル100貰ってたんですよ?自動車整備士で考えられますか?

休日体制一つでもかなり違います。求人で確認するのもいいですが、実際の勤務状況を働いている人に聞いてみたほうが確実にわかります。最近は取り締まりが厳しいので、大手販社でブラックな勤務実態が淘汰されつつあるという話は聞いていますが、「実態としてブラックである」販社は昔は多くありました。

何故知っているかと言うとメーカーで研修を行うと全国の販売店から人が集まるからです。自分の就職した販売店はすごく恵まれているな~と感じました。

現在は入社してくる人間の層が変わりつつありますが、昔の自動車整備士は偏見抜きでヤンキー上がり・暴走族上がりの人が多く決してお上品な人が多いわけではありません。上下関係に厳しく、それの延長上でブラックな勤務実態になっているという話もかなり耳にしました。

曰く工場長がヤクザみたいに怖くて休めない。基本的に言われたら出来る出来ないは関係ない、出来るまでやるとか・・・。

これからの自動車整備士に求められる能力

地方によってはあるのかも知れませんが、私が会社を辞める頃には暴走族上がりやヤンキーっぽい人が入ってくることは殆どなくなってました。

車好きっぽい人もかなり割合が減っており、とりあえず行くところがなかったのでとか、なんとなく車が好きだったので、という理由で入ってくる人が多かったです。自動車整備士の企業サラリーマン化が進んでいますね。

これはある程度仕方がありませんし、会社自体も実は現在「職人」を望んでいません。すでに自動車整備士が職人である必要性は皆無と言ってもいいです。

望まれている能力としては整備力3:対人能力7くらいですかね。正直どんなに天才的な作業の腕を持っていても会社から必要とされるのは最初の10年、良くて15年です。整備士といってもサラリーマンなのでいずれ管理職としての能力や営業マンとしての能力を問われます。

整備一本で会社でNO1になり、技術を教える部署に行っても「教える能力」が皆無だったら立ち行きません。対人能力は必須ですし、優れたプレイヤーが優れた教育ができるとは限りませんから、どんなに優れたプレイヤーでも違う能力が問われた時に人並み以下だったときには、評価も人並み以下になるということです。

民間工場や高年齢化が進んだ特殊な環境下では需要があるかも知れませんが、一般的なディーラーのお話であるなら上で書いたとおりです。

整備士としての能力=診断技術

整備力一つとっても昔とはかなり異なります。勘・コツ・器用さ・スピードなどが一昔前の整備士として重要視されていた部分ですが、これも今となっては割合として占める部分は3割くらいです。診断機を使いこなす能力、データを解析できるだけの知識が必要です。

いわゆる勘がよく、コツを掴むのが早く、スピードの早い作業センスの高いメカニックは一昔前は「出来る整備士の代表格」で憧れる存在でもありました。しかしながら今では「それだけ」では、ただの作業が早いメカニックです。評価もそれなりです。あいつ作業早いよね~というだけです。

現在の車は故障するとダイアグノーシストラブルコード(DTC)という記録を残します。これは故障部位を特定する場合もありますが、基本的に~系で有ることを示すだけで、中には現象だけを示すコードもあります。例えばエンストしたとかエンジンの回転が不安定になったとかそういった事実があったことだけ記録として残すのです。

そういった手がかりの少ない故障、常時発生しない潜在的な故障を発生したときのデータを解析して、再現させ故障部位を短時間で理論的に特定する。そんな能力が現在の整備士には最も必要とされ、資格を取得するにあたっても重要視されています。

事実としてこういった高難易度故障診断は知識のない人間が何日かけようと絶対に原因が分かりません。「症状が出ないので分かりません。」で逃げます。本当に症状を再現させることが困難な場合もありますが大半は症状を再現できない、データを解析できない事が故障原因が判明しない理由です。

※余談ですがネットで検索して上位に出てくるDTCは情報が古すぎてほとんど使えません。(コードの意味が間違っているということではなく、現在コードの数は数百倍に膨らんでいます。)自分が現役だった頃にネットの情報にいかに間違った情報が多く、専門分野において無力か思い知りました。

これから整備士の年収と待遇はどうなるのか?

驚くほど少ない給与明細の画像をネットやSNSなどで見て、心が折れたあなた!そんなに悲観しないでほしいです。私は整備士としての人生を終えましたが、これからの自動車整備士に関しては年収も待遇も改善される傾向にあると思います。

自動車の需要は年を追うごとに減少しており、業界全体の規模も縮小することは間違いないです。しかしながら自動車産業は基幹産業です。日本から自動車に関わる職業がなくなった時には日本自体が終わっていると思いますので、整備士の仕事が皆無になることは当分ないと思います。

そして自動車業界が縮小する以上に整備士の数が足りません!整備士が居なくなってしまっては自動車の販売店(ディーラー)は成り立ちませんので、今は必死に求人する方法を模索しています。すなわち給与を含めた高待遇化に向けて動いています。

今からの時代ブラックな体制をとっている自動車販売店は淘汰されていくでしょう。私が入社した頃と、辞める頃ではそれこそ天と地の差がありました。それだけ時代は変動しています。楽な仕事ではありませんが、そこまで悲観するような給与体制の会社ばかりではありませんからネットで見た情報だけに惑わされず、自分の目で見て、自分の耳で聞きに行ってみてはどうでしょうか?