ディーゼルエンジンのエンジンオイル規格と選び方

実はガソリンオイルよりもディーゼルエンジンの方が選び方は重要。適当に選ぶと触媒が痛んだりするので注意が必要です。ちなみに触媒の交換費用はエンジンオイル代ケチったことを後悔するほど高額なので注意しましょう。

ディーゼルエンジンオイル規格

CA 軽度条件のディーゼルおよび軽度条件のガソリンエンジン用で良質燃料使用が条件。(良質とは主に硫黄分の比率)

良質燃料使用下での軸受腐食防止性および高温デポジット防止性が必要。(※軸受けはクランクシャフトなど※デポジットとは固着物など)

自動車エンジンには現在使われない。

CB 軽度~中程度条件のディーゼルエンジン用で低質燃料使用時の摩耗およびデポジット防止性を必要とする。

高硫黄分燃料使用時の軸受け腐食防止性および高温デポジット防止の要求性能も要求性能として挙げられる。

CC 軽過給(ターボ)ディーゼルエンジンの中程度~過酷運転条件用。高負荷運転のガソリンエンジンでも使用可能。

ディーゼルでの高温デポジット防止性、ガソリンエンジン防錆作用、腐食防止性、低温デポジット防止性の要求性能。

CD 高速高出力運転での高度の摩耗およびデポジット防止性を要求性能。

通常の燃料の質での過給ディーゼルエンジンで高い軸受け腐食防止性および高温デポジット防止性も必要。

未だに古い設計のディーゼルエンジンでは指定油としてCDランクをしているしている場合もあるがあえて選ぶ必要なし。

CE 1983年以降製造の大型・高過給ディーゼルエンジンで低速高荷重と高速高荷重で運転両方でオイル消費性能、デポジット防止性能、清浄分散性能をCD級より上昇させたレベル。

現状ではやや環境性能不足だが普通に販売されている。

CF 建設用重機や農業用機械ディーゼルエンジン用に開発された油で、CDの性能を上回ること。

このあたりの性能でやっと現行車で使っていいレベルと判断。

CF-4  1990年代の低硫黄(0.5%以下)の軽油を使用する大型、高過給トラックなど最も過酷な条件で運転されるディーゼルエンジン用。

CEに比べ高低温デポジット性能、清浄分散性、熱安定性、せん断安定性、オイル消費防止性で全て上回る性能を要求。

現状DL-1やDH-2など特殊なディーゼルエンジンオイルを除く中では最高ランクになっている。

 

エンジンオイルの選び方で注意すべきはDL-1、DH-2、C3規格

上記の表で説明したグレードに関してはPM(粒子状物質:以下PMと表記)の浄化触媒装置であるDPR装着車に対応していないエンジンオイルであり、DPR触媒装着車に関しては小型貨物や乗用DL-1(ディーゼルライト)グレードを表示したエンジンオイルを使用しましょう。

また乗用域の規格の中でもベンツや日産のエクストレイルなど一部のエンジンではACEA C3規格のエンジンオイルをしているしている場合もあります。

最後にもう一つ。大型ディーゼルエンジンを搭載のバスやトラックに関してはDH-2(ディーゼルヘビー)グレードのエンジンオイルを選ぶ必要があります。なぜこのように同じディーゼル車なのにエンジンオイルをいちいち選ばなくてはいけないのか?。

これには理由がありDPR触媒の欠点というか構造上の問題。ここではほとんど割愛と言っていいほどざっくりと説明しますがDPR触媒はPMを集塵して後から燃焼処理するような仕組みになっています。

なので適当なエンジンオイルを入れてしまうと触媒が早期目詰まりを起こし、触媒劣化を促進してしまう可能性があるからです。詳細も書いておきますが結論から言いますと車の取説に記載されているエンジンオイル以外は使用しない方がいいです。

エンジンオイルJASO-DL-1 / JASO-DH-2 / ACEA C3規格の違いと比較

 JASO DL-1JASO DH-2ACEA C3
硫酸灰分0.6%以下1.0%以下0.8%以下
リン分0.10%以下0.12%以下0.07%~0.09%
高温せん断
粘度
2.9以上※粘度によって異なる
2.9~3.5
15w-40以上(3.70)
3.5以上
商品例画像
特徴乗用域で使用されるので低粘度のものが多い。

硫酸灰分が少なく触媒が詰まりにくく設計されているが、C3規格に比べるとせん断強度が低い。
大型トラックなどに使用されるため触媒容量にも余裕があるため硫酸灰分とリン分の設定がDL-1より甘い。

その分せん断強度に関しては高い。
主に乗用に用いられるため硫酸灰分に関しては低く設定されており、高温せん断強度が非常に高い。

ただし価格も異常に高い。

ざっくりとまとめると以上のような感じです。以下はもっと知りたい人のディーゼル事情。

DPF/DPRとエンジンオイルの成分について

粒子状物質捕集フィルター/粒子状物質低減装置のお話。

ディーゼル車は排ガスの規制によって各地方自治体のディーゼル規制条例によって定められた排ガス適合していないと乗り入れが出来なくなるなど、営業車や運送の用途として用いられる自動車をメインとして搭載されているディーゼルエンジンにとっては死活問題な大事件となりました。

そこで自動車メーカーが(苦肉の策として)生み出したのがこれらの装置だ。苦肉の策と書いたのは初期のDPRなどの装置は非常にお粗末で故障なども非常に多かったですし、構造を勉強するとなんでそうなった・・・と思うところも多々ありました。

もちろん私なんかが想像も出来ないほどの天才たちが集まって作り上げた装置なのだろうから、どうしてもブレイクするー出来ない部分があったりもしたのだろうが、現在はともかく以前は何故この状態で世の中に送り出したんだというくらい穴が多いシステムでした。

さておき呼び名の事ですがメーカーによってDPFやDPRと言ったりします。トヨタや日野はDPRですね。ちなみにアルファベットが意味するのはDはディーゼル。PとかPMとか言われているのはP=(パティキュレイト)、M=(マター)を意味します。黒煙を構成する粒子状物質の事。

よくPM2.5とか騒がれていたPMも同じ意味。ただあれはディーゼルの黒煙由来のPMだけではないので別問題ですよ。

なぜDPF・DPR装置とエンジンオイルの関係

ヒントはDPFという名前。FはフィルターですのFです。粒子状物質を触媒装置に集めて外部に放出しないようにしているというのがこの装置の役割ですが、では溜まった粒子状物質はどうなる?という事です。

フィルターはろ過装置ですがその溜まった粒子状物質を永遠に溜めておくことは出来ません。エンジンオイルフィルターだって空気清浄機のフィルターだってフィルターの名がつくものは清掃なり交換なりしますよね?

ただこの装置は非常に高額なうえに交換できるような構造ではありません。(交換式のDPFがあったら私のリサーチ不足ですごめんなさい。)

一般的には燃料を多く噴射して触媒を超高温にすることによって触媒に蓄積した粒子所物質を焼却処理します。まぁこの粒子状物質の正体はよく、古いトラックがモクモクとマフラーから吐き出している黒煙が正体であり、黒煙は空気不足で蒸し焼きになった燃料が原因ですから焼却処理は理にかなってます。

CO2排出問題は置いておいて・・・。

やっと本題ですが適当なエンジンオイルを使用すると排気ガス中にDPFを詰まらせる成分が多く発生します。この成分をエンジンオイル中の硫酸灰分と言いますが、なぜに燃料を燃やしているのにエンジンオイルが関係あるんだ?と鋭い人は気が付くかと。

答えはDPFやDPRが装着した車は特に燃料でエンジンオイルが希釈される割合も多く、正常なエンジンでもその分燃料と一緒にエンジンオイルが燃焼室で燃焼する量が多くなります。そのためエンジンオイルの成分が燃焼時の排気ガスに関わってくるわけです。

JASO-DL-1 / JASO-DH-2 / ACEA C3の互換性

簡単に言いますと互換性は無いと考えて素直に指定のオイルを使用した方が安全です。ただし経験上で言わせていただければ直ちに故障に繋がるようなことにはなりません。上の表でまとめた通り硫酸灰分、リン分、高温せん断安定性が異なるだけです。

一番やってはいけないのは高い高温せん断性が求められるエンジンに0W-30などの省燃費DL-1のエンジンオイルを使用するパターンでしょうか。基本的に高い粘度かつACEA C3などを指定しているエンジンは高負荷エンジンです。用途は十分に確認を。

他の組み合わせに関して故障が考えられるのは燃費が落ちてしまったり、長期に渡って使用した場合に触媒のつまりが早くなるなどの影響が考えられますが、実際に現場でエンジンオイルの選定が間違っていたために起きた不具合を特定するのは正直難しいですね。

硫酸灰分、リン分、高温せん断粘度性能とは

硫酸配分は主に清浄分散性能を高めるために転嫁されている成分で、カルシウム添加剤など金属系の添加剤が使用されています。そのため触媒を詰まらせる原因となりますが、少なければ少ないで清浄分散作用が落ちますからその辺りはトレードオフです。

リン分は耐摩耗、極圧性能を向上させるため・・・つまりは潤滑油としての性能を高めるための成分ですが多すぎると単純に汚い排ガスになります。要は触媒の浄化作用を邪魔します。

高温せん断粘度は高い方がいいのですが、粘度が高ければ抵抗も大きくなるので省燃費を意識したライトトラッククラスでは不利に働きます。粘度とせん断安定性能は成分が同じならほぼ比例しますが、エステルなどを添加して低粘度かつ高せん断安定性を実現したエンジンオイルもあります。

ただし高い。これにつきます。

オイル交換時期の管理はガソリンエンジンよりシビアに!

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて交換時期がかなり早めに設定されています。最近ではロングドレン化している車もありますが汚れ具合として判断すると汚れ具合はガソリンエンジンの比ではありません。

さらにディーゼルエンジンはターボ(過給機構)と相性がいいため過給機=ターボ搭載のエンジンが割と多いのですが、このターボエンジンはもっと交換時期がシビアです。

元々燃料に含まれている硫黄によってエンジンオイルの酸化が早いのですがターボのタービンから発生する熱でさらに酸化が促進されます。エンジンオイルが酸性化するとエンジン内部の金属部分全ての侵食、磨耗が激しくなりエンジンの寿命を著しく低下させます。

そのためディーゼルエンジンのエンジンオイルは酸中和作用が高くアルカリ性に保たれているなどの特徴があり、このあたりがガソリンエンジン用と区別して使用しなければならないと言われている所以でもあります。

また黒煙によるススの混入によってエンジンオイルの粘度増加が激しいのでオイルメンテナンスが悪いとすぐにドロドロになって固形化してしまい症状が進行すると固形化して定着、こびりついてしまいます。

逆にDPR装着車ではPMを燃焼させる際に燃料が多量にエンジンオイル中に混入するためエンジンオイルの希釈が起こったりと、それは求められる性能は多いのです。。

よってディーゼルエンジンのオイル交換時期はガソリンエンジンよりもシビアに考えて管理した方が良いというわけです。

オイル交換を多頻度で行うのは意味がないという人がいるのですが、整備をやっている人間の観点からするとメーカー指定の交換時期は保証期間を過ぎれば壊れても良いと言わんばかりに感じてしまいます。

よってエンジンオイルにこだわるというのも決して無駄な趣味的要素が強い行為ではなく、高性能な化学合成油やオイル添加剤の併用で清浄分散、酸中和作用を高めエンジンを保護し、大切に乗っていくというのも私は良いと思います。

ディーゼルエンジンオイルの成分や種類まとめとおさらい

 JASO DL-1JASO DH-2ACEA C3
硫酸灰分0.6%以下1.0%以下0.8%以下
リン分0.10%以下0.12%以下0.07%~0.09%
高温せん断
粘度
2.9以上※粘度によって異なる
2.9~3.5
15w-40以上(3.70)
3.5以上
商品例画像
特徴乗用域で使用されるので低粘度のものが多い。

硫酸灰分が少なく触媒が詰まりにくく設計されているが、C3規格に比べるとせん断強度が低い。
大型トラックなどに使用されるため触媒容量にも余裕があるため硫酸灰分とリン分の設定がDL-1より甘い。

その分せん断強度に関しては高い。
主に乗用に用いられるため硫酸灰分に関しては低く設定されており、高温せん断強度が非常に高い。

ただし価格も異常に高い。